安定感のあるレーシック 失敗
上記五物質(群)のうち、二酸化硫黄、一酸化炭素などの濃度は一九七○年代以降、都市部で激相関を述べた論文が、いずれも一九八○年代のものであることは注目に値する。
減し、光化学オキシダントも同様の傾向をとって環境規準よりはるかに低くなっており、二酸化窒素と重量で見た浮遊粒子状物質の測定値は横ばいである。
このような状況下でも、大気汚染物質は、気体性大気汚染物質であると信じている人々は少なくない。
たとえば、イギリスの代表的な医学雑誌の一つ『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』の一九九二年二一月五日号に掲載された論文でも、一九八九年から一九九一年にかけて、旧東ドイツのライプチヒと旧西ドイツのミュンヘンにおける九〜二歳の小児(一○五○人対五○三○人)について、医師の診断した気管支瑞息(七%対九%)、気管支炎(三一%対一六%)、枯草熱(日本でいう花粉症、二%対九%)、鼻炎(一七%対二○%)の有病率や気道過敏性の検査異常(六%対八%)を比較し、小児端息の増加の原因は大気汚染(昔ながらの大気汚染!)ではない、と結論している。
同様の資料でも、読みようによってまるで違う結論が出る。
『メディカル・トリピュー皇(一九九四年二月二四日号)によれば、D大学環境医学研究所のある教授は、昔ながらの大気汚染物質に汚染されている地域では、旧東ドイツ以外(たとえばロシア)でもアレルギー患者数は少ないことから、新しい大気汚染物質が、西側で急増するアレルギーの原因として重要であると推論している。
アメリカの代表的医学雑誌であるラーユーイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』(一九九二一年一二月九日号)のエディトリアルでも、浮遊粒子状物質を中心とした現在の大気汚染が気管支瑞息の発症あるいは重篤化に関連しているとする多数の報告を紹介している。
これらの報告の多くは、気管支端息患者について、救急的な外来受診者数.入院者数などを指標としている典型的な定点観測の研究結果である。
ただし、特定の地域内の集団を対象とした調査には、大気汚染の影響が実際より大きく見積もられる可能性が否定できないという批判がある。
喫煙者数や経済的背景のほか、その地域に特異的なアレルゲンなど、さまざまな因子が、気管支瑞息の発症あるいは重篤化に関連するかもしれないからである。
上述の雑誌に掲載された一つの論文は、上記の批判に答えようとしたものである。
喫煙程度で対象を層別化し、アメリカの六都市において大気汚染と疾病による死亡との関係を調べ、硫化物と共存する浮遊粒子状物質が地域差や喫煙の有無をこえ、肺癌や心肺疾患による死亡を有意に増加きせ「自然現象」として、あるいは「人為」的に増えた浮遊粒子状アレルゲンによる大気汚染はアレルギー疾患多発の原因になりうる。
前者の例として、オーストラリア医学雑誌(一九九二年六月一五日号)の一論文が提示している。
批判に応えるもう一つの方策は、個人を対象とすることである。
これによって、呼吸器症状に加えて、呼吸機能検査や治療薬の使用状況など、きめこまかな指標を用いることができる。
上記エディトリアルは、そのような研究で、浮遊粒子状物質濃度と指標との関連を証明しえたとする報告を引用しているが、わが国では、浮遊粒子状物質と気管支瑞息の症状発現あるいは重篤化との関連を時系列を考慮に入れて検討し、浮遊粒子状物質の急性影響を証明しえた仕事はまだない。
昔ながらの大気汚染物質も、また浮遊粒子状物質でないものも、増加因子の候補になる。
富山県におけるスギ花粉症患者の動態調査で、一九七六年より八七年までの二一年間の富山県三五地点観測データのうち、高岡市の大気汚染物質測定値と、同期間三月および四月のアレルギー性鼻炎患者の増減との相関を見たところ、患者数は、大気中のメタンおよび全炭化水素と相関を示した。
しかし、このようなガス状物質が、アレルギー性疾患の発症とどのように関連しているかは明らかにされていない。
のは、「雷雨←ライ麦花粉の飛散←気管支瑞息の多発」の連鎖である。
一九八七年二月八日の午後九時から翌朝九時までの雷雨時に、ヴィクトリア市の救急隊への出動要請は、通常、平均二名のところ、一三名、一九八九年二月二九日の午後六時から翌朝の六時までの雷雨時には、四四名であった。
その間、気体状大気汚染物質量の測定値は、通常よりむしろ少なめであった。
雷雨の影響を受けた一二名の気管支端息患者と、受けなかった一六名の気管支端息患者とを比較し、ライ麦に対する感受性で有意の差を認めた。
このことから、即、上記の連鎖を類推するのは、いささか飛躍しすぎとも思えるが、面白い発想ではある。
後者の例としては、一九八○年代前半の、スペインのバルセロナでの気管支瑞息の多発がある。
多発は、症状激化を訴えて外来を訪れる患者数の急増で察知されたが、患者の居住所を調べたところ、港の一地域に集中していることがわかった。
この港には、大豆用サイロが二つあり、甲サイロにはフィルターがついていなかったが、乙サイロにはフィルターがついていた。
患者は、船から大豆を荷下ろしし、サイロに移す作業の日に、甲サイロ周辺で多発していた。
当地で、グラスファイバーフィルターを装着したエアーサンプラーを用いて採取した浮遊粒子状物質は、分子量一四・四キロダルトンの大豆由来糖タンパクと共通抗原性を持つ物質を含むことがわかった。
甲サイロの上部にフィルターをとりつけたところ、浮遊粒子状物質中の上記アレルゲンの減少とともに、症状激化を訴えて外来を訪れる患者の数や入院患者の数が激減した。
特異的IGE抗体産生冗進を介し、アレルギー性症状の発現に慢性的な影響を与える可能性のある物質として下記のような報告がある。
珪土類卵白アルブミンのみ、あるいは卵白アルブミンと水酸化アルミニウムゲルとの混合液を腹腔内に与えたのでは特異的IGE産生が認められないマウスで、卵白アルブミンとともに鴫のオーダーで与えられた珪土類による特異的IGE産生の出現が報告されている。
フライァッシュ石炭の燃焼生成物であるこの物質(群)の特異的IGE抗体産生冗進作用が国立環境研究所のHらによって報告されている。
ただし、現在のわが国で、この物質が実際に大気中に浮遊しているという資料はない。
シラカバ花粉この花粉の成分に特異的IGE抗体産生冗進作用があると報告されている。
シラカバ花粉は、大気汚染がそれほどでない北欧で、強力なアレルゲンとして知られている。
マンガン鑑粉塵これは、職業上、頻繁に接する人間のIGE産生増強作用が話題になった物質である。
第三章アレルギー発生と大気汚染特異的IGE抗体を冗進するものシラカバ花粉そのものは微粒子とはいいがたいが、特異的IGE産生を高める部分は、径一○以下の微粒子である可能性が高く、〜は、いずれも浮遊粒子状物質と考えられる。
なお、われわれが吸入しうる程度の濃度の気体性大気汚染物質のみで特異的IGE抗体産生を高めたという報告はまだない。
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